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治安悪化と元国王死去

長らく更新せず済みませんでした。

カブールからタジキスタンの首都ドゥシャンベの事務所に移動し、またカブールに移動。23日にタロカンに戻ってきました。

ちょうどその日、アフガニスタンの元国王ザーヒル・シャーがカブールで亡くなりました。亡命中の30年余り、イタリアに暮らしていましたが、92歳という寿命は医療環境も生活環境も過酷なこの国ではなかなか考えられない年齢です。翌24日から3日間、政府は国を挙げて葬儀を執り行い、喪に服しています。テレビでも連日に渡って葬儀の様子を中継しています。

一方、韓国人やドイツ人の誘拐事件が頻発しています。誘拐された中には、すでに亡くなった人もいます。昨年から徐々に治安が悪くなっていますが、最近は加速度的に悪くなっているように感じます。今の政府に国を統治する十分な力があり、最も大切な国民の信頼も勝ち得ているとは言い難いです。タリバンの資金源や活動の源泉、実効支配地域との関係は分かりません。ですが、タリバン支持者でなくとも政府への不信感を抱いている人は少なくありません。これまで私が会ってきたアフガン人でも不信感を口にする人がいました。

あるアフガン専門家が言っていましたが、アフガニスタンは国王が各部族の支持を受け、イスラームの擁護者となることで国としてのまとまりを保ってきたそうです。確かに、ここは多民族国家であり、イスラームが強い社会規範になっています。

国民の政府への不信感、アフガニスタンの民族的、社会的背景を考えると、わずか数年で議会制民主主義を導入し、「ある程度」世俗的な社会・政治体制を確立することに無理があるように思えてなりません。法整備を進めることと、国民がそのような体制を理解し支持するのとは別です。ヨーロッパでさえ、1000年以上の時間をかけ民主主義を発明し、育ててきたのではないでしょうか。

私のいるNGOスタッフも、テレビで元国王の葬儀を見ています。泣いたり、悲嘆に暮れるわけではないですし、すでに国王ではありませんでしたが、アフガン人にとって何らかの意味があった存在なのだと思います。どのような存在なのか、それはまだ分かりませんが、この国の混乱を目の当たりにしたとき、何かヒントがあるように感じました。

話とは全く違いますが、23日に飛行機でタロカンに着いたときの写真です。原野に2本の溝を掘って滑走路の範囲を示す「飛行場」に降り立ちました。


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